みやぎ建築未来賞 ~創設主旨~

(社)宮城県建築士事務所協会

 建築の創造への魅力は限りなく、青少年から熟年に至るまで、大きな夢の一つとして、人生の目標にも近い思いにまで至らしめる。単に雨露をしのぐものから文化として確立するまでには、過去の為政者、宗教家・文人・茶人達が、それぞれの願いで、建築創造への極致へとの執念と努力は今日、我々の遺産として現代に誇らしく輝いている。
  現在、建築への要求は複雑多岐にわたり、個から街、都市、地球全体への環境にまで条件が拡大し、それを認識しつつ、尚経済効果を重要視せざるを得ない創造環境にあるが為、時として、本来、大自然の中の人間としての構え、であることを忘れ、科学技術過信の判断、業とする者は商行為と誤認することで、過ちが多発することが懸念される。それは、建築文化として確立してきた先人への冒涜であり、沈滞の歴史の一頁ともなりかねない。
  ここに至り、本来、人の純粋な夢をかたちどる創造行為への、あくなき努力とその成果に対し顕彰し、魅力への誘導、過去の建築文化の理解と習熟、その上に立って、現代の要求を包含、満足される技能と心の高揚により、未来に向けて発展的継承と、新しい文化の創造がなされるならば、公益法人として、当協会の社会的役目は大いに市民に理解、歓迎されることだろう。
  既に17年前より“卒展”という催事にて、県内建築関係工業高校、専門学校、高等専門学校等学生対象に行われて来たが、卒業をひかえた学生の作品に限定故、その成果は充分に認められつつも、前述の主旨を更に発展、普遍すべき時期が今であることを認識、昨年より、従来、もう一つとしての催事、市民と共に建築を知る、月間のキャンペーン時期に併合させ、顕彰範囲も拡大し、“みやぎ建築未来賞”として継続発展させるものである。これには官、学会、市民文化団体、同業友好団体のこれまでの多大のご協力の経緯あって、決断されるものであり、今後ともご支援賜ることを切に願っております。